幼馴染のち恋模様

「寒くないか?」
「大丈夫。梗介の体温高いから」

笑い合う二人はまだ抱き合ったまま離れられずにいた。

「帰したくないんだけど・・・連れて帰っていい?」

甘えるように頭を寄せる梗介。
甘いセリフに心臓がドクドクと音を立てる。

「っ、明日も仕事だよ・・・」
「俺もだけど・・・そうだ!」

梗介が勢いよく顔を上げる。

「俺ん家から葵の職場近いぞ」

すごく期待の込められた眼差しで見つめられている。
心なしかフリフリと左右に揺れる尻尾が見えるような・・・?

「泊まっても、いいの・・・?」
「なんなら一緒に住んで」
「それは展開が早すぎるよ!」
「今まで離れてた期間を思えば遅いくらいだろ」

梗介ってこんなグイグイくる人だったっけ?海外ではみんなこんな感じなのだろうか・・・?

「一緒に住むかは一旦置いといて、泊まるなら荷物取りに行ってもいい?歩いて10分くらいのところなんだけど・・・」
「俺、駅前に車あるから取りに行って葵の家向かおう」

そうして、駅前の駐車場に停めていた梗介の車で我が家へやって来た。
梗介も一緒に車を降りたので慌てて止める。

「散らかってるから車で待ってて!」
「じゃあ、玄関だけ」
「・・・分かった」

引かなそうな強い意志を感じ諦める。
部屋に着き玄関に入ると念押しする。

「ここで待っててね!」
「ふっ、分かったよ。早く行ってこい」

何となく信用できないが、待たせるのは申し訳ないので急いで持って行くものをまとめる。
10分しないうちに準備が整い、玄関に戻る。

「お待たせ」
「荷物これだけ?」

梗介はそう言ってさりげなく荷物を持ってくれた。
車の前に着くと助手席側のドアを開けて葵を中に促す。荷物を後部座席に置いて、反対側に回り込み運転席に乗り込んだ。全てがスマートで目を奪われる。
すると、クスクスと梗介が笑い出した。

「葵、見過ぎ。そんなに見られると緊張するだろ」
「!?」

バレてた!?穴があったら入りたい・・・。
梗介はエンジンをかけ、車を発進させる。

「だって、梗介が格好いいから・・・あっ違っ、なんでもない!」

つい本音が漏れてしまい誤魔化しようがなくて一人で慌てる。
隣の梗介は何かに耐えるようにハンドルを握りしめる。

「葵それわざと?」
「なにが!?本当になんでもないから!」
「あんま可愛いこと言ってると襲うぞ」
「ひぇっ!おそっ・・・!?」
「今日はしない。けど次は我慢しないから」

梗介の言葉に少し想像してしまって顔に熱が集まる。必死に頭から追い出し違うことを考えようと窓の外に視線を向ける。
すると、膝の上に置いていた右手が温もりに包まれる。梗介の左手が葵の右手をギュッと包み込んでいた。

「!?」
「繋いでていい?」
「うん・・・」

断れるはずがない・・・。
梗介は機嫌良さそうに口角を上げると、指と指を絡ませ恋人繋ぎに変える。
葵も満更ではないのでニヤニヤと口元が緩んでしまう。車内には甘い雰囲気が漂っていた・・・。


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