幼馴染のち恋模様

無事、3日間の出張が終わり、楓華ちゃんのサポートとして仕上げに入る。

「先輩!この記事の文章どうですか?」
「おぉ、前より良くなってる!出張行くと感じ方変わるよね。それが文章に表れてていいと思うよ」

出張先でも楓華ちゃんは熱心で、葵も初心を思い出すような清々しい気持ちになった。


本日の仕事を終え会社を出てすぐ、目の前の柱のそばに見知った人が目に入り、無意識に後ずさる。

「東堂さん・・・」
「こんばんは。お話があって待っていたの。時間もらえるかしら?」

立っていたのは、あの日梗介と抱き合っていた藤堂瑠奈だった。
断れるわけもなく静かに頷く。

「私が梗介と付き合っていたことは知ってる?」
「はい」
「なら話は早いわ。梗介と別れてほしいの」

あまりにもはっきり言葉にされ驚く。

「私たち婚約するのよ」
「えっ?」

婚約・・・?
頭の中をその言葉が渦巻く。

「そう。私、藤堂コーポレーションの社長の娘なの。梗介と結婚すれば梗介の会社にも援助できるし、藤堂にとっても梗介の会社との取引は大きな利益なのよね」

なんだか次元の違う話をされ頭が真っ白だ。

「あなたと付き合ってて、梗介に何かメリットはあるのかしら?」
「メリット・・・?」

付き合うことにメリットって必要なのだろうか?でも、お金持ちの常識は私にはわからない。
どう返せばいいのか迷っていると瑠奈が得意気に言い放った。

「ふっ、幼馴染なんて思い出に縋っているだけよ。梗介も受け入れているわ。あなたが言わなくても梗介から別れ話をされると思うから覚悟しとくことね」

それだけ言うと瑠奈は去っていった。


唖然と立ち尽くす。

梗介も受け入れている・・・?
別れ話・・・?
確かに抱き合っていた時、梗介は振り解かなかった。
会社のため?それとも、やっぱり瑠奈さんの方が良くなった・・・?

嫌な場面を思い出すのと同じくらい、梗介が私にくれた言葉や行動も思い出される。
ずっと好きだったって言ってくれた。言わなかったことを後悔したって、私しか見えないって・・・。
だから大丈夫。梗介から直接聞くまでは、傷付かない。

そう思わないと立っていられなくなりそうだった・・・。

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