幼馴染のち恋模様
誰もいない公園に小さな葵の泣き声が響く。
苦しくて苦しくて・・・息が、出来ない・・・。
過呼吸になっている・・・となぜか俯瞰して自分を見ている気分になり、意識が遠のく。
「大丈夫ですか!?」
誰かが駆け寄ってきて声をかけてきたが、苦しくて答えられない。
「って、柚月さん!?・・・柚月さん!大丈夫ですから、息を吐くことに集中してください。フーッフーッ」
会社の後輩の楓華だと分かり、言われた通り息を吐くことに専念する。
「フーッフーッフーッ・・・・」
やっと呼吸が落ち着いて肺にも脳にも酸素が送られる。
「柚月さん?落ち着きましたか?」
「楓華ちゃん・・・ありがとう。落ち着いた」
過呼吸で汗だくだし、目は泣き腫らしていてメイクも落ちているはず。
後輩にこんな姿を見られなんて・・・。
「こんなところで何をしてたんですか?帰り道逆方向ですよね?何があったんですか?」
楓華はほっとけないのか詰め寄る。
駅とは逆方向にあるこの公園に私がいるのは不自然だ。さらに過呼吸で倒れかけていたとなれば誤魔化しは効かない。
「楓華ちゃんは、どうしてここに?」
話を逸らすのが得策かと話題を振る。
「あぁ・・・ここ、家までの近道なんです」
「そうなんだ・・・」
会話終了。話を広げる思考が働かず、無言になる。
「無理して話す必要はないですけど、話して頭の中が整理されることもありますよ」
確かに、一理あるなと納得してしまう。
楓華の言葉に背中を押され、言葉がこぼれ出す。
「彼氏とね・・・わ、かれ、たんだ・・・」
言葉にすると重みが加わって実感が湧く。
もう、梗介のぬくもりには触れられない・・・あの温かい眼差しは二度と、私に向くことはないんだ・・・。
また涙が溢れ出し、隣に後輩がいるのに止められなかった。
「柚月さんは・・・その人のこと、本当に大好きだったんですね・・・」
楓華の言葉に想いが溢れ出す。
「うん・・・グスッ、大好きなの・・・こんなに好きなのに、うっ、グスッ・・・」
「じゃあもう、思う存分泣いちゃいましょう!」
そう言ってハンカチを差し出すと、葵の背中を優しくさすってくれる。
耐えていたものが流れ出るように、子どもみたいに泣きじゃくった。
その間も、楓華は黙って葵の背中をさすり、そばに居てくれた。