幼馴染のち恋模様【完】
「葵・・・!」
ガンッ!!
瑠奈のしたことや葵に放った意地汚い言葉の数々に怒りが募り、固く握った拳を壁に打ち付ける。
「あんな女狐と婚約するようなバカじゃなくて安心したわ」
「言っておくが、俺が将来を誓うのは葵だけだ」
「・・・言葉だけなら何とでも言えるわ。行動で証明して」
真緒の言葉に背筋が伸びる。前を見据え胸を張る。
「分かってる。真緒、ありがとう」
「気持ち悪いんだけど。私はまだあんたのこと許してないから。次、葵を泣かせたらその命はないと思いなさい」
「俺のせいで、たくさん泣いたんだな・・・」
罪悪感が身体中を支配して鳥肌が立つ。
「自惚れないで。あんたと別れられた喜びでに決まってるでしょ」
意地の悪いやつだ。その言葉が今の俺にどれだけ深い傷を負わせるのか分かってて言ってやがる・・・。
「勘弁してくれ・・・まじで立ち直れなくなる・・・」
「ふんっ、いい気味ね。葵のことは私が責任を持って守るから、あんたは好きにしたらいいわ」
こいつは俺を煽る天才か?
「真緒にも誰にも譲る気はない。さっさと片付けて迎えに行くよ」
「精々頑張んなさい」
通話を終えると、すぐにまた電話がかかってきた。母からだ。
もう母の耳にも入っているのかと、噂の恐ろしさを目の当たりにする。
「ちょっと梗介!婚約ってどういうこと!?何も聞いてないんですけど!私はてっきり葵ちゃんと・・・あっ・・・」
真緒も母さんも出た途端に話し始めるのは何なんだ。
「母さん落ち着いて。婚約の話はデマだから周りの人にも否定しといて。それから、葵が今どうしてるか分かる?」
真緒は絶対に教えてくれないが母さんなら、とダメ元で聞いてみる。
「やっぱり葵ちゃんとよね!うんうん。そうなると思ってたのよ〜」
「母さん、自分の世界に入るのは後にして。葵は?」
「ん〜最近見かけないのよね・・・」
嫌な予感がして背筋が凍る。
「葵を見かけたら、婚約の件は力強く否定しといて」
「任せて!梗介・・・危ないことはしないでね・・・?」
母にとってはいつまで経っても俺は子供なんだろうな。
「大丈夫だよ。正攻法で取り戻してみせる」
葵を早く、この腕で抱きしめたい。