幼馴染のち恋模様

次の日。
昨日、真緒から聞いた話を整理する。

確かに瑠奈から婚約の申し入れはあった。仕事を終え車に乗り込んだところ、助手席に瑠奈が乗り込んできた。唖然としている間に抱きつかれ、引き離そうとしたところ婚約の話が出て動きを止める。

俺たちが婚約をすれば父親の会社と俺の事務所、双方にとって利益があるものだと。断ればこの事務所はどうなるかわからないぞ、と。

だが、脅されたところで俺の心は決まっている。葵以外の人とどうにかなることなんて有り得ない。だからその場ですぐに断った。

にも関わらず婚約の話が浮上しているのは、瑠奈が独断で進めているのだろう。父親も一枚噛んでいるか・・・と、藤堂コーポレーションの社長を思い浮かべる。一人娘である瑠奈をとても可愛がっていて、目に入れても痛くないほどだと仕事で会った時に言われた。貫禄のある社長然りとしたおじさんだ。
婚約はしていないと直談判したところで、受け入れてもらえるとは思えない。
ならば俺が婚約を断っているという証拠を提示しなければならない・・・。

仕事の合間を縫って、弁護士である友人の篠宮蓮に連絡をした。

「梗介?久しぶりだな。どうした?」
「急で悪いが協力してほしい事がある」
「タダでは受けないけど?」

爽やかそうな顔で腹黒いのが篠宮蓮という男だ。だが、信用はできる。

「・・・分かった。俺にできる事ならなんでもする。だから、頼む・・・」
「梗介にしては珍しく弱ってるね。初恋の子関係かな?」

いつものように言い返す気にはなれず黙り込む。
梗介の様子が変だと察した蓮は顔色を変え快諾した。

「分かった。受けよう。俺は何をすればいい?」

事情を説明し瑠奈について調べてもらえることになった。

しかしそこで、予想外のことが起きる。
瑠奈がなぜかシンガポールへ来たのだ。どこで聞きつけたのか、俺の宿泊先のホテルに瑠奈が居た。
調べてもらっている以上、泳がせた方がいいと思い普段通りに話した。内心、穏やかではなかったが、どうにか堪える。



数日後______

蓮から報告が上がった。
瑠奈の周囲からの評判は良くないようで、社長の権力を笠に着て好き勝手しているようだった。
前の会社も自主退職している。純粋にショックだった。同じ志を持った仲間だと思っていたのに・・・。

それから、葵の職場での件は葵の上司が訴える手続きをしているが、揉み消される寸前だったらしいところを蓮がカバーしてくれたようだ。
そちらも蓮が引き継いで、正式に手続きされるだろう。

そして、最も重要な証拠となる梗介の車のドライブレコーダーも調べてもらった。バッチリ音声も撮れていた為、証拠として十分だ。ルナの爪の甘さに、バカにされているようで余計腹がたった。


それからまた数日後、仕事終わりに、相変わらず付き纏ってくる瑠奈が気分良さそうに言ってきた。

「梗介!今度パパが会いたいって。いつなら都合つきそう?」

悪びれることなく言ってのける瑠奈に怒りが込み上げる。だが、これはいい機会だと提案に乗った。証拠も揃った。あとは突きつけるだけだ。

< 66 / 126 >

この作品をシェア

pagetop