幼馴染のち恋模様

瑠奈の父親、藤堂コーポレーション社長と面会の日になり、真っ黒のスーツに黒に近いグレーのネクタイという、一見、葬儀に行くような格好で瑠奈の実家に赴く。俺なりの正装だ。
そして、隣には蓮もいる。今回の話し合いにおいて弁護士である蓮の存在は非常に心強い。

「梗介!待ってたわ!」
「こんにちは、梗介くん」
「「えっ・・・」」

出迎えたのは瑠奈とその母親。
二人は俺の隣にいる蓮の存在に怪訝な顔をする。

「ご無沙汰しております。本日はお招きありがとうございます」

そんな二人を無視して挨拶する。

「そちらの方は・・・?」

瑠奈の母親が不信感を思い切り顔に出し問いかける。

「弁護士の篠宮蓮と申します。藤堂社長と大切なお話がございまして・・・社長はいらっしゃいますか?」

蓮は得意の仮面をかぶって名刺を差し出し挨拶する。

「今日は娘にとって大切な日ですの。別の日にしていただけますか?」

瑠奈の母が蓮を追い出そうとしたところで目当ての人物が登場した。

「瑠奈、母さん?梗介くんが来たのか?」

玄関の奥から悠々と歩いてくるのは瑠奈の父、藤堂社長だ。さすが、相変わらず貫禄がある。

「おぉ、梗介くん来たか」
「ご無沙汰しております、藤堂社長」
「はははっ、他人行儀な呼び方はよしてくれ。君は我が家の家族になるんだからな。隣の方はどなたかな?」

社長は不思議そうに蓮に目を向ける。

「初めまして。弁護士の篠宮蓮と申します。本日は大切な日にお邪魔してしまい申し訳ありません。東雲梗介さんからのご依頼で同行させていただきました」

爽やかな笑顔で放たれた言葉に社長の眉はピクッと反応する。

「弁護士・・・依頼?」

怪訝な顔で梗介を見据える社長。
梗介は臆することなく話し始めた。

「婚約の件でお話ししたい事があります。中へ通していただけますか?」

社長は何かを察したのか難しい顔で二人を中へ通した。

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