メシ友婚のはずなのに、溺愛されてるのですが!?

 ……いや、ちょっと待って。そうじゃなくて。期間は最低1年って言ってたけれど、ちゃんとは決めてなかったよね。


「あの、それで……期間って最低1年でしたっけ……?」

「まぁそうだな。あのクソジジイの勘にもよるけどな。だが……楽しければ延長してもいいぞ?」

「……結婚を何だと思ってるんです?」

「……」


 いや、そこで黙らないで。お願いだから。

 だって、結婚なんて人生で一番幸せな……幸せな……? いや、どうなんだろう……そもそも結婚ってよく分からないし……


「瑠香、お前の結婚願望は?」


 結婚願望……結婚願望……

 何歳までに結婚したい、とか、どんな人と結婚したい、とか……だよね。

 ……1ミリも考えたこともなかった。素敵な家庭を築きたい、なんて事も考えなかったし。

 あまりいい家庭環境じゃなかった、というのがあるのかな。まぁ、生まれてから小学2年生までは楽しかったけれど。そこから先は、叔母達の家で邪魔者扱いされたし。

 だから、いきなり結婚願望と言われても浮かばない。


「ほらな」

「……」


 ……今のはちょっとカチンときた。人のこと分かってるような態度は摂らないでほしい。今は運転なさっているから大人しくするけど。

 結婚、かぁ……

 私、今まで彼氏とか全くいなかったしな……それどころじゃなかった。今私21歳だけど、そんなの考えたことなかった。

 ……こんなだから私はこれを了承してしまった、って事……? 今更気付いたところで何もならないけれど。


「まぁ、こっちがお願いしたんだからご要望にはお答えする。安心しな」

「……分かりました」


 ご要望……

 こんなに軽く結婚しちゃっていいのかな……ちょっとだけ、危機感があるんだけれど。


「……あの、指輪は大学では外していいですか?」

「凜華か? まぁ、確かに面倒だが適当に言っておけばいいと思うが」


 ……まぁ、七瀬さんにも何か言われるかもしれないけれど、それよりも豊峰さん達だ。高そうな指輪をしていけば絶対に目を付けられて没収までされてしまうかもしれない。

 彼はお父上の事があるため指輪はしないといけないけれど……どうしたものか。とりあえず、チェーンを買って首にかければ肌身離さず持っていられるし……うん、そうしよう。


 そして、私は後悔した。

 お金持ちは皆、高層マンションに住むものなんだと思い知らされた。


「別居がいいのか」

「……はい、それでお願いします」

「まぁ、いいけど」


 やっぱり、私は高いところが苦手だ。ここ、何階だっけ。七瀬さんの所も高層マンションで高めだったけれど……こんな所に住めるわけがない。私の住んでいるアパートでは二階に住んでいるから別に大丈夫だけれど。さすがにここは……無理。

 でも、別居夫婦で良いんだ……まぁ、ご要望にはお答えするって言ってたし……面倒な事になるようだったら、申し訳ない。けれど、やっぱり高所恐怖症の私がここに住むには無理がありすぎる。

 まことに、申し訳ありません……

 お金持ちの住む高級高層マンションは、やっぱり高級感があってすごかった。ここに入っていいのかと玄関前でビビってしまったけれど……中も広くて開放感がある。けれど……あまり物がない? あ、まぁ、一人暮らしらしいから、一人暮らしにこのサイズの部屋は大きいって事かな。
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