キミの感情
過去回想と出会い
自分が怒りの感情を持っていないことに気づいたのは高校生の時だった。
男の子達から毎日の様に告白をされ、下校時刻になると校門には、他校の男の子が私を目当てに群がる。

欠陥品の私は人間であって人間じゃない。 

そんな私のどこがそんなにいいのか全くもってわからなかった。だから私は誰とも関わらないことに決めた。彼らに無反応を貫き、友達も作らずいつも一人で行動した。

そんなある日のことだった。
私は一軍女子と呼ばれる同じクラスの子達にトイレに閉じ込められて、暴言を吐かれたのだ。それだけでは収まらず、彼女達は私の頭の上からバケツで水をかけた。

「な……何笑ってるの?」

主犯格の女が笑みを浮かべた私をみて、思わず後ろに下がった。

何故?そんなこと分からない。
ただ可笑しくて堪らなかった。目の前の女は私を睨みつけると腕を振り上げる。

乾いた音と共に左頬に痛みが走った。
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