ゲーム友達【番外編】
「国見さん、ゲームガチ勢じゃん」
「うん、まぁ…兄の影響で」
松浦くんとは、ゲームの話で盛り上がった。
私がやるようなガチガチのシューティングアクションではなく、のんびりRPGがお気に入りらしいけど。
「なるほどねー、それで早坂と?」
「えっ?あー…」
「違った?アイツもゲーム好きでしょ」
どこまで喋っていいのか分からなくて、濁していると、お手洗いから戻ってきた早坂くんが隣に座った。
「答えなくていいから」
「何だよ、ケチ。
だいたいお前が彼女いるって言う割にどんな子とか全然言わねーから架空の存在なんじゃね?って言ってたくらいなんだぞ」
「何だそれ。んな訳ねーだろ」
「今日この時間がなければ早坂は妄想野郎になってたな」
松浦くんに代わって遠藤くんがそう言うと、早坂くんはゲェと顔をしかめた。
早坂くんは、私のこと友達にあまり話さなかったんだな。
複雑な感情が胸の中をぐるぐるとまわる。
「あ…私、飲み物取ってくる」
その場から逃げるように立ち上がった。
多分、気にしてるのは私だけ。
早坂くんが彼女の話をペラペラするタイプじゃないのも分かるし、自分だって知らない所で話されるのは嫌だ。
なのに寂しい気持ちになるのは、ただのワガママだ。
冷蔵庫を開けて、目についた缶ジュースを手に取ると、その場で開けて半分くらいを一気に喉に流しこむ。
心が荒んでいると、ジュースも美味しくない。
そのままシンクに溜まった空き缶を洗おうと蛇口を捻ると、一瞬視界がぐらんとした。
ん?
妙な感覚。
違和感を覚えてさっき飲んだばかりのジュースのパッケージを見ると、そこにははっきりと《お酒》と書かれていた。