これはもはや事故です!
『ふ~ん。心配したけど、美羽、落ち着いてるみたいだし、良かったじゃん』

「……でも、正直、怖いよ」

 ぽつりと、本音がこぼれる。

「優しくされるのも、一緒にごはん食べるのも……全部。これ……足が治ったら終わるんだよね……」

 電話の向こうで、優佳が一度、息を吸った。

『ねえ……美羽さ』

「うん」

『その人と寝た?』

「えっ?ね、寝た!?」

『Hしたかって聞いてるんだけど』

「そ、そんなっ、Hなんて、し、してないよっ」

『へー』

 と言った優佳の顔は見えないけれど、電話の向こうでニヤニヤしている気がして美羽は、落ち着かない。

「なっ、なんでそんな事聞くのよ!もう、優佳ってば!」

 慌てたまま言うと、電話の向こうで優佳がくすっと笑った気配がした。

『だってさ。噂通りの軽い男で、もし遊びなら、もう手出してると思わない?』

「……え」

『優しい男ほど、手が早いタイプも多いじゃん。距離詰めるのも上手いし』

 美羽は、今までのことを思い返す。
 必要な時には強引に抱きかかえる事があっても、必要以上の事をされてはいない。
 一緒に過ごしていても、基本、眠る部屋は別だし、同じ部屋で眠ってしまっても、添い寝だけの夜もあった。
 いまだにキスを一度しただけの安全過ぎる距離感を保ってくれている。

「……たしかに」

『でしょ?』

 優佳の声が、少し真面目になる。

『美羽さ、その人に大事にされてる感じ、ちゃんと分かってる?』
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