これはもはや事故です!
「……藤咲さん。君もだ」

「わ、わたしは……っ!」

「君は事務所を辞めたあとも周辺をうろつき、私の自宅を把握しようとした。人に尋ね、SNSを探り、今回も私の帰宅を待ち伏せしていた」

 藤咲の顔が真っ青になる。

「でも……そんなつもりじゃ……!」

「恋愛感情だから許されるという考えは、ストーカー行為そのものだ」

 言葉を区切ると、室内の空気がピリッと張りつめた。

「あなた方、二人は私を待ち伏せし、その場で互いに取っ組み合うほどの激しい口論になりましたね?」

 藤咲が震え声で答える。

「……はい……でも、あれは白石さんが」

「私が!? 藤咲さんだって腕を掴んできて!」

 すぐさま言い合いになる。

 磯崎は机を指先で軽く叩き、静かに告げた。

「どちらが先に掴んだかは問題ではありません」

 二人がはっと黙る。

「双方が感情的になり、公道上で掴み合いを始めたこと自体が重大です。
 そして、その結果、白石さんが藤咲さんを突き飛ばし、バランスを崩した藤咲さんが、通りかかった女性に激突し怪我を負わせた」

 室内の空気が重く沈む。
 藤咲が涙声で叫ぶ。

「わ、私!押されて、ぶつかっただけなんです!」

「しかし、あなたは争いの当事者だった。
 あなた方二人があの場で争いを始めなければ、第三者である女性に衝突することもなかった」

 磯崎が淡々と告げると、藤咲は肩を震わせた。
 白石は食い下がるように言う。

「で、でも……私たち、あの女の人を狙ったわけじゃ……!」

「狙っていないのは分かっています。しかし、狙っていないから罪にならない理由にはなりません。過失傷害罪というのを聞いたことはありませんか?」

 白石の目が大きく揺れた。
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