これはもはや事故です!
 磯崎と視線が絡みそうになって、美羽は慌ててそらした。

(だめ……近すぎる。優しすぎて……揺れる……)

 磯崎はさらに身を寄せるようにして、顔を覗き込む。

「俺、何かした?嫌な思い、させた?」

「そ、そういうのじゃなくて……!」

「じゃあ、どういうの?」

「……っ、えっと……大丈夫ですから」

(真美ちゃんの言葉が頭にこびりついてる……『女たらしは優しいの』って……だから……)

 磯崎が困ったように眉を寄せた。

「……大丈夫って言うのは、嘘だよな?」

「……っ」

 言葉が出ない。

「俺のこと、信用できなくなった?」

 その声に胸がズキンと痛む。
 磯崎の声は、驚くほど優しかった。

「……そ、そんな……!」

 でも否定しきれなくて、美羽は唇を噛んだ。

(信じたい……でも……心が揺らされるのが怖い……)

 沈黙が落ちた。

 磯崎はしばらく美羽を見つめ、ふっと目線を落とした。

「……そうか」

 短く呟く磯崎の声が、ほんの少しだけ寂しそうだった。

(え……そんな声、出されたら……)

 胸がぎゅうっと掴まれたように痛む美羽だった。
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