海棠/カイドウ〜哀をなくした不遜な軍師と、愛しき共謀者が綴る備忘録〜
最前線で猛獣共に対峙する愚強。
その役割はそれに留まらず多岐に渡り―⋯神格を見せつけるかのように、指示を網羅していく。

死臭と熱に惹かれてやって来るの猛獣。彼はその翼で燻煙を散らし⋯悪獣たちの視野を奪っていく。同時に、救護所から燭陰熱を遠ざけるべく⋯調整役も。
そして。彼が凍るように冷たい風を―⋯送るとき。
博益の笛の旋律が―⋯その声色が、変容していく。
鋭い号令の伝達とは違う、重みのある⋯、かつ、どこか懐かしいような独特の旋律。その音色に呼応し、なぞるようにして⋯鳥たちが悲痛な、けれども美しい鳴き声を上げる。

「鎮魂の―⋯さえずり?」

動きを止めぬまま、皆が空へと祈りを捧げる。
博益らしい⋯慈愛の表現だ。


現場は次第に秩序を取り戻して、連動して―⋯役割を担っていく。


けれどもこれはあくまで、緊急の体制で急場凌ぎ。
この荒れ狂う自然の理への、対応だ。

根本的な問題の解決には―⋯至らない。

もっと多くの人員で、一気に片をつけなければならない。

長い長い―⋯半刻。


誰もが―⋯あの男の帰還を願って。
戦いに挑むのであった。


「有昧后―⋯。どうか―⋯、早く!」






















































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