泣けない私と、笑顔をくれる年下彼氏の溺愛処方箋(レシピ) ~体が若返っても、愛してくれますか?~

23.時、場所不明(待機)



あの真っ白な閃光を見てから、何度目かの目覚めだ。

私は遠い昔、保育所に預けられていた時のことを思い出す。
微かな記憶。
昼ご飯を食べて、所庭で遊んだり、部屋の中で絵本を読んだりしたあと、必ずお昼寝の時間があった。
眠くないのに。まだまだ遊んでいたいのに。
おかまいなしに先生は、ぼくたちを寝かしつけた。
眠くなかったはずなのに、まだまだ遊んでいたかったはずなのに。
タオルケットの上から、先生に軽くトントンしてもらっていると、いつの間にか寝てしまっていた。
そして、目が覚める。

あの時の感覚。今それを味わっている。
ここはどこ?
私は誰だ?
眠る前に何をやっていたんだっけ?
何もわからない。

でも、確かなことがいくつかある。
ここは、安全な場所だということ。
ここは、守られている。大きな愛によって。

そしてもう一つ。
私にとって、すごく大切な命が私とともにある、ということ。

コツン。

その命の玉が私にぶつかる。
まるで、忘れないでって言っているように。
まるで、不安な気持ちを私に受け取って欲しいように。
大丈夫。
君の玉の中に、明るく真っ赤なハートが見えている。
僕のも、見えるだろう?

もうすぐなんだ。
きっと、もうすぐなんだ。

君がしたのと同じように、コツンと君の玉に軽くぶつかり、
それを伝える。

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