一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「お前、何やらかしたんだ? 結婚前に遊ぶにしてはあのお嬢さんはリスク高いだろ」
 
「そんなことしてないですよ」
 
 あの誘いから半年。
 
 もう少し、倫子の妊娠が遅ければ、ほとぼりも冷めて、ここまであの女を怒らせなかったのだろうか。


 当然だけど。
 会社は俺よりも、上野ブライダルとの繋がりを取った。
 
 提携はそのままで、俺は国外旅行のチーフから国内旅行のカウンターに回されたのだ。
 
 おまけに、そのあとから俺に、ある噂がつきまとうようになる。
 
 
「岡田浩司はゲイで、今の妻とは偽装結婚した」
 

 出所は、上野泰子以外、あり得なかった。


 そんな噂を倫子が知るよしもない筈だが、夫の安定と出征を望んでいた彼女は、俺の降格の現状にストレスを感じたのか、
 
「浩司、お腹が痛い……」
 
 
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