一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 就職活動をしながら、空いた時間で再び昔の映画を観る事が多くなった。
 
 真っ暗な一人の部屋で、何も飲み食いせずに、ただ、ぼんやりと眺める。
 
 人は同じ映画であっても、状況により昔とは違う見方や感じ方をするようだ。
 
 【マイ・プライベート・アイダホ】でもそうだけど、 どんなに暗く悲壮感漂う作品であっても、どこかに光の部分を残しているものが多い。
 
 この映画のラストでは、全てを失ったマイク (リバー) が、故郷、アイダホの道中で倒れてしまうのだが、そのマイクを誰かが車に乗せて救うところで終わる。
 
 それが誰なのかは、遠目過ぎて分からないのだけれど、確かに、ズタボロのマイクを誰かが拾ったのだ。
 
 いいな。
 
 こんな俺も、拾ってくれる人や会社があるだろうか。
 
 俺の人生にも、明るい光は射し込んでくるだろうか?
 
 映画の、どこまでも続く平野の中の一本道を眺めながら、ふと、何故だか急に、遠くまで走る運転士になりたいと思った。


 
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