一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「別にそんなんじゃないから、いいから家に帰って」
 
  やだな、ただ一回、寝ただけの相手を親に見られるなんて。
 
「彼氏でもないのに外泊? どういう知り合い?」
 
「仕事の、派遣先の方よ」
 
 岡田はというと、無表情のままお母さんを見ていて、
 恥ずかしくなった。
 突然、散らかしっぱなしの自宅を見られたような感じで。
 
 無表情のまま、岡田がスッと車から降りてきた。

「はじめまして、南部観光の岡田と言います」
 
 岡田は、こなれた営業スマイルではなく、やや緊張感を露にした、堅い笑顔でお母さんの前に出てきた。
 
「南部観光………」
 
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