一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
  亡くなったお父さんと同じ会社だったからか、お母さんの目付きが、ちょっとだけ柔らいだ、………ような気がする。
 
「本日は、業務の延長として、桑崎さんにご協力を願い、宮崎に同行して頂きました」
 
「………仕事、二人で?」
 
「ええ、今回のツアーの乗務員の二人で」
 
 岡田の、仕事的な礼儀正しい口調が、私を複雑にした。
 
 そうだ。
 そもそも、目的は赤石さんの送迎だったんだから。
 
 昨夜の出来事は、おまけにしか過ぎない。
 岡田的には、一つの旅の締めくくり的な行為だったのかもしれない。
 
「………ですが」

  岡田は、付け加えた。
 
「プライベートでも時間を頂きたくて、もう少し紫都さんをお借りしてもいいでしょうか?」
 
 
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