重力圏外のプロポーズ、軌道修正は不可能です~宇宙飛行士は恋に不器用~

【星野昊・行動記録(非公式)】
JSEA非公式記録ログ:2025年1月28日
観察対象:結月(仮妻)
記録者:星野 昊(宇宙飛行士・第3次長期滞在直前)

【時刻:20:42】
当方、自宅リビングにて対象と対面。
→ 出発前最終夜。
→ 通信手段として、ボイスレコーダーおよび“話題リスト”ノートを贈呈。
→ 対象の反応:驚き→笑み。
→ 発言:「観察されてたんですね」
→ 当方:「ダメでしたか?」→ 対象:「大丈夫です」
→ 会話成立。
→ 対象の笑顔率:高。
→ 当方、心拍数上昇(推定:+6bpm)

【時刻:20:47】
対象、ノートに一文を記入。
→ 内容:“帰ってきたら、ちゃんと話しましょう”
→ 当方、視線固定+一時的沈黙。
→ 感情的反応:中程度。
→ 発言:「……了解です」
→ 対象の言葉が、当方の“帰還後の行動計画”に影響を与える可能性:高。

【時刻:21:03】
対象より「いってらっしゃい」の発言。
→ 当方:「……必ず」
→ 視線交差時間:6.2秒
→ 言語的やりとりは最小限だが、非言語的共感の成立を確認。

【時刻:数日後 19:12】
船内個室にて、対象の録音音声を再生。
→ 内容:“今日の空は、ちょっと曇ってました……”
→ 当方、再生ボタンを複数回押下(回数:4)
→ 対象の声に対する依存傾向の兆候あり。
→ 感情安定度:上昇。

【時刻:22:30】
船内観測窓より地球を観察。
→ 発言:「……俺は、彼女が好きだ」
→ 自覚的感情の明文化。
→ 当方、初めて“恋愛感情”を自己認識。
→ 心拍数上昇(推定:+10bpm)
→ 感情の明文化により、精神的な明瞭性が向上。

補足観察メモ(非公式)
・対象の声は、当方の精神安定における主要因。
・“重力”という比喩表現が、当方の感情認識において定着しつつある。
・対象の存在が、当方の“帰還動機”の中核に位置し始めている。
・“観察”から“共鳴”への移行が進行中。

次回行動案:
・リング設計の初期構想開始(重力下での装着性を考慮)
・対象の声データの保存・再生頻度の最適化
・“好き”という感情の定義と、伝達手段の検討

——以上。
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