ピリオド
虚しい白(心春side)
今日の空は雲一つない青だ。こんな日は良い結婚日和だと誰もが思っているだろう。……でも私、降谷心春(ふるやこはる)の心は土砂降りの雨だ。今日は私の晴れの日なのに。

「心春、ようやく世間に出しても恥ずかしくないようになったな」

「やっぱりお母さんが選んだドレスで正解ね!ドレスは華やかであればあるほどいいんだから!」

ウェディングドレスを着た私の前で、お父さんとお母さんが笑っている。警察官のお父さんと、専業主婦のお母さん。二人にとって私は何なんだろう。

少し前までのことを思い返す。胸がキュンと音を立てた。幸せで満ち溢れていた。あそこは大好きな場所だった。

束縛をする両親の元から逃げるように海外へ行き、そこで生物学者のジョンさんと出会った。ジョンさんや他の仲間たちと働いた。自由で、幸せで、私はジョンさんが好きだった。

……でも私は家に連れ戻されて、今日お見合いをさせられた相手と結婚させられる。愛のない結婚だ。相手はお父さんに取り入るために必死に私に媚を売ってるけど。

両親の選んだ結婚相手、両親が選んだ式場、両親が選んだドレスにプラン……。何もかもが虚しい。

心にヒビが入る音がした。
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