青に溶ける、きみ。
案の定、チャイムが鳴ると同時に列に並び、挨拶を交わした瞬間――
ザーッ、と大粒の雨が降り始めた。
ずぶ濡れになった私たちは、先生の指示で慌てて昇降口へ避難する。
「どう見たって雨降るだろ、先生のせいだ!」
「悪かったよ」
ワイワイ、ガヤガヤ。サッカーを選んでしまった、運の悪い人たちの声が、雨音に混じって響く。
思ったより、体は濡れていない。でも、前髪から頬へ、一筋の雫が伝って、少し気持ち悪い。
「晴海、お前、晴れ男じゃないのかよ」
「今日は、勝てなかった」
雨に濡れ、人のいないところで髪を振りながら笑う彼。犬みたいに無邪気な仕草に、思わず目が奪われる。
片手で髪をかきあげる仕草につい、魅入ってしまって、その私の視線に気づいたのか、「ん?」と声を出して近づいてくる。
見てた私が悪いのだけど。
「夏井、なーに?」
「…っ、」
どうして、そんなに濡れているの、と問いかけたいのに、言葉は胸の奥で詰まって、金魚みたいに口をパクパクさせるだけで声にならない。
普段は見せないのに、確かにそこにある柔らかさ。
静かに滲む色気に、心が押し流されそう。