青に溶ける、きみ。



結局、どちらが正解なのかも分からないまま、私は正面の席を選んでしまう。


顔を上げたらいけない気がして、視線だけを机の上に落としたまま座ると、頬の内側からじわじわと熱が滲んでくるのが分かった。


まるで夏の陽射しが、外ではなく私の中にだけ差し込んでいるみたいだった。


ぱたぱたと下敷きを仰ぐふりをすると、正面から小さく笑う気配がした。



「クーラー効いてるよ?暑い?」



その声が、少しだけ近い。



「……うん」



本当は暑さのせいじゃないなんて、口にできるはずもなくて、曖昧にうなずくしかできない。

私は寒がりな方で、むしろ冷房は少し苦手なくらいなのに、それでも今だけはやけに呼吸が整わない。


教科書を開く晴海の手元を、そっと視線の端で追いながら、どうしてこんなふうに落ち着かなくなるのか、自分でもうまく説明できなかった。



ねぇ、晴海。

どういう気持ちで、私をここに呼んだの。

数ある誰かの中から、どうして私だったの。


< 80 / 171 >

この作品をシェア

pagetop