青に溶ける、きみ。
「どーしたの」
「…別に何でもないよ?」
「気になって集中できない」
普段ならそんなこと言わないはずの声色に、思わず視線を逸らしたくなる。
意地悪、なんて言葉が喉まで出かかって、飲み込む。
晴海は、ほんの少しだけ身をかがめるみたいにして私の顔を覗き込んできた。
その距離に、心臓が変な音を立てた。
頬が熱いのはきっと、夏のせいだけじゃない。
「夏井」
「…っ、晴海がっ」
「ん、俺?」
「正面にいるの、なんだかむず痒くてっ…ほら、いつも隣だからっ」
本当の理由を少しだけ薄めて、曖昧に混ぜる。
そうでもしないと、もっと言えないことまで零れてしまいそうだった。
すると晴海は、困ったようでもなく、責めるでもなく、ただ小さく笑った。
「なんだ、そんなこと?」
だけど、ほんとのほんとは違う。
違うのに、言えない。