マーガレット
「やっと来たか。逃げるんじゃないかと思っていたが」

 パーティーが始まって挨拶回りなどを済ませる方々を他所に、私は壁際でジュース片手に人の流れを眺めていた。陛下に挨拶しに行かなきゃならないけどあの輪の中に入るのは絶対に嫌だし、だからと言って黙っていたら礼儀のなってない奴だと思われてしまう。

 なんて思っていたら陛下の方から壁際へ寄ってきた。

「逃げるだなんて。陛下からのお誘いを無下にするなど」

「そうか? サムは嫌がっていたと言っていたが」

 サムぅ!!
 どこまで馬鹿正直に話すのよ!

「こういう場は慣れないので。すみません」

 それなりの理由を述べ謝ると微妙な間が開き、陛下が一言『そうか』と言った。
 会話する気ないなら何で私の横に来たんだろ?

「もうすぐ面倒ごとが始まる。ここは死角になってあちらからは見えないからな」

「え……。心読めたりします?」

「分かりやすい表情をしている。それにそう言った類の魔法は触れ合わなければならないからな」

 本当にあるってこと?
 魔法に関しては皇族以外使えないし、それに関しての書物も残されてはいるが皇族以外読んではいけない。憶測で書かれている物ならよく出回っているけど、それが本当かも分からないから私たちにとっては「未知」の世界。

「貴方の婚約者は私ではありませんか!!」

 突然聞こえた声に皆が注目する。もちろん私も陛下も。

 声を上げていたのは公爵家の令嬢――シュエリーナ・ヴァジ。美しい見た目とお淑やかな性格、聖女としては統括として同年代をまとめ、憧れる人も多い存在。
 対する相手はオルライド・アルバール。この国の皇太子殿下だ。
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