マーガレット
「マーガレット様最後にこちらを向いてください」

 あれから簡単に月日は流れ、前日に風邪でも引かないかと試みたんだけどやっぱり風邪とは無縁で、心なしかいつもより元気な日を迎えた。
 早朝からパーティーの準備と言って陛下が寄越した侍女――リアが私の為にバタバタと駆け巡り、正装するだけなのに化粧から髪型まで全て整えてくれた。

「パーティー一つでここまで大忙しとなると令嬢はもっと大変なんだろうね」

 以前のように敬語を使ったら『絶対に止めてください』と真顔で言われてしまい、この喋り方になった。皇宮聖女は位が高いからと。

「マーガレット様が持っているような化粧水は出回っていないので日頃からこまめにお手入れをし、数ヶ月前に頼んだドレスの為に食事制限をしたりと忙しいみたいです」

 そう言えばリリアナもドレスが入らなくなるとか騒いでいたような気がする。

「そうなんだ。聖女でよかった~」

 正装が体に合った作りで少し体系が崩れたら目立つけど、上半身はローブのような薄い布をもう一枚羽織るから誤魔化せる。色も青だし。

「そう言えば皇宮聖女としての羽織ができたのでそれを着てくるようにと。陛下が」

 丁度空間から取り出そうと思っていた羽織は聖女統括の印として着られている物らしく、皇宮聖女は聖女のイメージとは反対の黒に金の装飾が施されている羽織が用意されていた。

「……派手じゃない?」

「何処にいても分かる様にと、血がついても目立たないように黒色なんだそうです」

「派手よね?」

「かっこいいと思いますよ?」

 思いますよって。

「青じゃ駄目かな?」

「怒られると思いますよ? 陛下に」

 それは……まずい。
 でも黒の羽織と金の装飾に白い生地の服って。目立つに決まってるじゃない。しかも杖を持って行かないといけないんでしょ?

 ここから飛び降りて怪我したら出なくていいかな?

「時間です。会場までご案内いたしますね」

「はい……」

 初めて袖を通した羽織は思ったよりも軽く、派手過ぎると思った装飾は何故か想像よりも派手ではなかった。
< 48 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop