ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「でもさ、つきあってくれないと実害あるかもよ。バイトの男の子に相談されたもん」
「なにをですか?」
「仕事のことで耀理ちゃんに話しかけると、月嶺さんにすごい勢いでにらまれて生きた心地がしないって」
 やりそうだ、と耀理はげんなりした。

「注意しておきます」
「ありがと。デートの報告、待ってるからね~」
 そう言って美帆は先に出ていき、耀理はひとり、ロッカーを眺める。

「そういえば……月嶺さんが来てから、あんまり紀香たちのこと思い出さなくなった」
 みじめでつらくて、なのに忘れられずになんども頭に浮かび、そのたびに涙をこらえた。
 だけど、史弥の激しい自己主張に気をとられて、気が付けば史弥をどう撃退するかばかりを考えていた。
 彼が困った存在であることに変わりはないが、少しは感謝してもいいのかもしれない。

「悪い人ではないみたいだし」
 今日は早上がりだから、まだお店が営業している。帰りに服でも買って帰ろうかな。一緒にお出かけするんならおしゃれしていきたい。
 そう思って、はっとする。

「あくまで自分のため。デートのためじゃないから」
 自分に言い聞かせるようにつぶやき、耀理もまたロッカールームを出て行った。



 史弥とデートをした翌日、耀理はぐったりと出勤した。
 美帆は、耀理を見るなり顔を輝かせる。
 レジカウンターで客が引いた瞬間を見計らい、美帆は尋ねる。

「デート、どうだった?」
「どうもこうも」
 耀理は渋面で返す。
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