ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
休憩後も史弥にまとわりつかれ、なんとか仕事を終えた耀理は、同じく仕事を終えた美帆とロッカールームに向かう。
「ねえねえ、どうして月嶺さんとつきあわないの?」
直球の質問に、耀理はうんざりした目を向けた。
「つきあう理由なんてないですから」
「お互いにフリーなんだし、よくない?」
「好きだとか言われて舞い上がってつきあうと、ろくでもないことになりますから」
「浅沼さんとのときってそんな感じだったんだ」
つっこまれて、耀理は口を閉ざす。
「わかってると思うけど、月嶺さんは別人だからね? もう少し考えてみてもいいんじゃない? 彼は確かに急ぎすぎだけど、三年も思ってた人が目の前に現れて、そりゃ頑張りもするよ。ちょっと重いけど」
「それです、それ。重すぎる。作品はすべて私へのラブレターだとか」
反論のタイミング、と思って耀理はすぐに乗っかったのだが。
「その小説を面白いだのきゅんとくるだの言って読んでたじゃん」
確かに読むたびに大喜びで美帆に感想を言っていた。SNSにもはしゃいで投稿した記憶があるし、店のアカウントでも作品をおすすめとして紹介していた。
「あきらめたほうが幸せが待ってるかもよ~」
「嫌ですよ」
慎一の告白を真に受けて舞い上がった結果に傷付いたばかりだ。親友に奪われるなんて、もうあんな思いはしたくない。もっとも、親友はもう元親友であり、彼女が史弥のことを知ることはないだろうけれど。
そう思うと、不思議と心が軽くなった。
ああ、もう好きな人をとられるかも、と思わなくてもいいんだ。彼女は結婚を前提に付き合うと言っていたし、友達としての縁を切られたのだ、もう二度と会わないだろう。