ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「お金で付き合う人を選んだりしないですから」
「そうじゃなくて。いい人とのご縁を意固地になって拒否するのがもったいないなあって。反対されたら燃え上がる恋人たちがいるけど、賛成すると逆に冷める一方なのかな。反対したほうがつきあったりして」

「そういう小細工はいらないです」
「でもさ、耀理ちゃんは逆にお金にこだわってるよね、金持ちは嫌だって。普通の会社員だからいい人とは限らないのは元カレでわかったでしょ? 耀理ちゃんには幸せになってほしいの。みんなそう思ってるよ」

「……ありがとうございます」
 耀理は複雑な気持ちになった。
 彼女らの善意は疑うべくもない。が、今の自分は素直に受け取れる状態にはない。

「今日は月嶺さんがおやすみで残念ね」
「いなくてホッとしてます」

「まあでも会えない時間が愛を育てるっていうし」
「育てるのは別人との愛ですけどね」
「あ、元カレにふたまたされたんだ」
 耀理は墓穴を掘ったことに気が付いた。

 レジにお客さんが来て、会話はそれで終わった。
 耀理はレジを美帆たちに任せ、出版社から届いたPOPを書棚に飾る。
 作業しながら、自然と史弥とのデートを思い出していた。

 待ち合わせののち、ちょうどいいと思って彼に注意した。
「バイトの男の子をにらむのはやめてください」
「だけど、あなたとしゃべるなんて百万年早いと思うんだ」
「百万年?」
 また変なことを言い出した、と耀理はあきれる。
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