after7は笑えない


「ほいじゃ…。」


遠くでドアの閉まる音が聞こえて、緊張感が一気に緩和される。目を瞑れば、頭の中身がぐるぐると回っているような感覚に襲われて。もう何もしなくていいのだという幸福に身を預けた。


お疲れ、私。



……その、およそ3分後。

 
「ふわっふわのミウさん、ごっそさんでしたー。」


その声にハっとして目を開ければ。


目の前にはキラ君の見目麗しい顔があった。


私の寝ぼけ眼が確かならば、その表情は、超満面の笑み。この野郎。 


いつもの七三に整えた髪型じゃない。シャワーを浴び終えた後の彼の前髪が、ヘーゼルイエローの瞳をまばらに遮っている。実はくせっ毛らしい。ゆるくうねりが発生している。


「な……っ」

「おやすみダーリン。」


最後に、ちゅっと、唇にキスをされた。きっとここでおでこにちゅうなら素人のやり方だ。(TLで読んだ。)


蕩けそうなほど眠いのに……自分の顔が熱くて寝れやしない。してやられた。さすがにNo.1はやることが違う。


305万案件は、きっちり最後まで私の自尊心を跡形もなく消していった。明日になったら元に戻っていることを願う。



私はこの日を持って、キャバと処女を卒業した。


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