愛が重いNo.1ホストに追われています。
Four: 🐜 🐜 🐜 🐜


女子力は数値で可視化されないから上げる必要性を感じない。


でも営業成績は、学力テストのようにそれはもうハッキリと色濃いコントラストで標《しる》される。


PC画面のチャートに標された営業成績。営業部は1課から3課まであり、チャート画面には営業部全員の成績が五十音順に並んでいる。


2課 七三倉 晩 
3課 成世 秋奈


なにせヤツとは同じ「ナ」行なのだから嫌でも目につくし鼻につくし。


春闘大会から早くも2ヶ月が経とうとしている。


そして、早くも営業成績上位を独占している私と七三倉。


今は僅差で私が彼に負けている。でも、今日の商談が決まれば私が追い抜く形となるのだ。何がなんでも月末までには間に合わせる。


成世ハ社畜ジャナイ社畜ジャナイ1位ニナリタイダケノ社会人。呪いの言葉を何度も頭の中で唱えて、ポキポキと指を鳴らした。



「成世ちゃあん!コキンちゃんから内線入ってる!」

「はい、出ます。」


隣のデスクのマリア先輩から受話器を受け取れば、お客様サポートコールセンターの天使の声色が優しく響いた。



『成世さん、大学からの依頼なんですけど、OSのサポート終了に向けて校内の全PCを買い替えたいそうなんです。』


『こちから連絡入れます。ありがとうございます。』


『いえ。それと、また経過状況をお知らせ頂いてもいいですか?もしうちの製品を入れるとなればサポート対応も必要となってくるでしょうし。』


『はい。またメールで経過状況を報告しますね。』


『よろしくお願いします。……あの、あと野口さんって今担当は教育機関から外れてますか?』


『……はい?私が引き継ぎましたので。』 


『そうですかあ。ありがとうございます。』


野口さんの名前がコキンちゃんから出てきて、ふと違和感を感じる。

 
それにしても天使の声色って凄いな。仕事中のピリピリした雰囲気を緩和させてくれる。


コキンちゃんからの電話を切って、確かあの大学の名刺があったよなと名刺入れから探し出す。前に野口さんとコピー機の件で訪問した際に交換したはずだ。


「なんでそんなに古臭い名刺入れ使ってんの?」

「うるさい。話しかけないで。」

「なんの名刺探してんの?」

「あそこ……嘴開《はしびろ》大学の。」  

「QUONで客に貰った名刺はどう管理してたの?」


イラッ 


「うるっさいなああぁ」


QUONで私がつくお客さんなんて皆一流企業ばかりだったからちゃんとファイリングしてデータ化してすぐ検索できるように管理してたわ!


やだ私ってば、すっごいマメ!




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