腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「ねぇ、美咲。私はあなたと話がしたい。とりあえず今、少しだけ時間もらえないかな?
ついでにそこのあなたも付いて来てもらえると助かる」

どうやら彼女もまだ美咲くんと二人だと気まずいみたいだ。
それに彼女と二人っきりだと美咲くんが警戒し、逃げてしまうので、逃げないために私はダシに使われたのであろう。

「はぁ。仕方ねーな。茜ちゃんが付いて来てくれるなら行ってやってもいい。茜ちゃん悪いな。付いて来てもらってもいい?」

正直、本音を言えば人様の色恋沙汰に巻き込まれるのなんて御免だ。
でも、相手が大切な友達だから。その友達のお願い事だから私は応じることにした。

「いいよ。美咲くんがそういうのなら」

きっとこれが美咲くんなりの譲歩なのだと思う。
やっぱり美咲くんは優しい。もしかしたら、美咲くんも本当は彼女との間にある蟠りを解消したいと思っていたのかもしれない。
なんてそれは都合がいい方向に解釈しすぎか…。
でも、なんとなく今の彼を見ていたら、そんな気がした。

「美咲も、それからそこのあなたも、ありがとう。助かるわ…」

「おい。そこのお前はないだろう。人にものを頼む立場で」

私はあまり気にならないが、どうやら美咲くんの癇に障ったみたいだ。
せっかく雰囲気が少し変わったのにも関わらず、ここにきてまたもや空気が悪くなってしまった。

「あら、ごめんなさい。私、あなたの名前を知らないのよ…」

前回ちゃんと挨拶したはずですが…。どうやら彼女にとって、私は覚えてもらえる価値すらなかったみたいだ。
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