腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「はい。コーヒー淹れたよ」

「ありがとう。頂きます」

一旦、テーブルの上に、読みかけの漫画を閉じておき、コーヒーに手を伸ばした。
そのままコーヒーを一口飲んだ。

「…ん、美味しい」

たったその一言だけでも嬉しかった。自分の淹れたコーヒーを美味しいと言ってもらえたから。

「それならよかった。…その漫画、ずっと気になってたやつなの?」

読書中の邪魔をしたくはなかったが、つい気になったことを聞きたいと思い、聞いてしまった。

「実は…さ、買おうか迷って、買わなかったんだよ。
だから、一度読んでみてから決めようかな…と思って」

お試しで読んでみてから、購入するかどうかを決めることがある。
少しでもお役に立てたのなら何よりだ。

「なるほど。そういう時もあるよね」

「うん、あるね。茜がこの漫画持っててくれてよかった」

分かってる。これは私に対してではなく、漫画に対してだと…。
でも、私の心臓はドキドキしていた。

「そう言ってもらえて何より。どうぞごゆっくり…」

私は美咲くんが漫画を読んでいる間に、家のことをやった。
まずはお風呂の浴槽を洗い、お湯を溜めた。

「美咲くん、読書中失礼するね。お風呂沸いたから入れるよ」

「何から何までありがとう。でも、ここは家主の茜からどうぞ」

きっと今、漫画が面白いシーンで、読みたいのであろう。
もちろん、気を使ってくれているのもあると思うが…。
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