腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「ごめん。ちゃんと断ろうとしたら、逃げられた」

「大丈夫。あんまり気にしないで。俺もちゃんと見てたから、知ってる」

そういう意味ではとても安心だが、良くない形で元彼と遭遇させてしまった申し訳ない気持ちの方が大きくて。気まずい空気が流れ始めていた。

「なんかごめんね。せっかくのデート中だったのに…」

「茜は何も悪くないだろう。向こうが勝手に邪魔してきたんだから」

確かにそうだ。悠が勝手に割り込んできただけだ。
私が気にしても仕方がない。起きてしまったことは消せないから。

「そうだね。美咲くんの言う通りだね」

「だろ?だからさ、家に帰ったら、元彼さんとのことを話してくれないか?」

美咲くんは嫌がらずに、こちらへと歩み寄ってくれた。
普通は彼女の過去の男の話なんて聞きたくないはずだ。寧ろ嫌いだと思う。
それなのにも関わらず、彼のことを知ろうとしてくれている。
私の全てを受け止めようとしてくれていることが、嬉しかった。

「分かった。家に帰ったら、話すよ」

私達は一旦、デートを中断し、私の家へと帰宅した。


           *


家に帰ってから、私は美咲くんに全てを話した。
そして、話を聞いていた美咲くんは、ゆっくりと口を開いた。

「なるほどな。だから、余計に茜のことが忘れられないんだろうな」

美咲くんの言葉を聞いて、そうなのかもしれないと思った。

「そうかもしれない。私ね、美咲くんでお付き合いする人は三人目なの」

私の言葉を聞いて、美咲くんは一瞬、驚いた顔をしていた。
それでも、私の話を黙って聞いてくれた。
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