腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「なるほど。SNSスカウトですか」

「茜、どうするの?引き受けるの?」

先程まで本物かどうか疑っていたから、深く考えていなかった。
いざ本物だと分かり、現実味を帯びると、自分でもどうしたらいいのか分からないというのが本音だ。

「どうしたらいいですかね?先輩」

「それは自分で考えることよ。もちろん、相談には乗るけどね」

先輩の言う通りだ。決めるのは自分なのだから、人に答えを委ねてはいけない。

「そうですよね。変なことを聞いてごめんなさい」

「大丈夫よ。謝る必要はないから。初めてのことで戸惑うよね」

先輩は私の気持ちを察して、フォローしてくれた。
温かい人の心に触れる度に、私は人に恵まれているなと、改めてそう実感した。

「茜、とりあえず、ゆっくり自分で考えてから、答えを出した方がいいと思う。茜の今後の人生に関わることだし。
あと、美咲くんにも話した方がいいと思うよ。夫婦だからってのもあるけど、これから決めることは、二人の人生に関わってくることでもあるからね」

忘れていたわけじゃない。ただ考えに至らなかっただけだ。
先輩に言われて、気付かされた。私はもう一人では生きていないのだと…。

「そうですよね。美咲くんにも話して、ちゃんと自分で考えて、答えを決めようと思います」

「その意気だよ、茜。応援してる」

一番最初に相談した相手が先輩でよかったと、心の底からそう思った。

「ありがとうございます。また何かあったら、連絡しますね」

「分かった。待ってる」

そこで先輩との電話は終了した。
私は覚悟を決めて、美咲くんに話すことにした。
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