腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした


           *


リビングで寛いでいる美咲くんに、声をかけた。

「美咲くん、ちょっとだけ時間をもらってもいい?」

私が突然、声をかけたので、美咲くんは少し驚いていた。
数秒間が空いてから、返事が返ってきた。

「おう。ちょうど今、大丈夫だよ」

時間を作ってもらえた。あとは私が話し出すのみだ。

「あのね、実は…」

SNSでスカウトを受けたことを、美咲くんに報告した。先輩に相談したことや、悩んでいることも。

「美幸さんがそう言うなら、その点においては安心だな」

そこは確かに美咲くんの言う通り、安心材料だ。
でも、将来のことを考えると、不安の方が大きい。ちゃんとやっていけるかどうか不安だ。

自信が持てない。プロで生きていく覚悟を持てない。
どうしたら、先輩みたいに強い意思を持つことができるのだろうか。私もその覚悟がほしい。

「うん。そうだね」

「茜、やってみたいって思ってるでしょ?」

鋭い刃のように、一気に核心を衝いてきた。
美咲くんのその一言により、私の心は揺すぶられた。

「そう…なのかな?自分だとよく分からなくて」

「悩むってことはそうじゃないか?そもそもやりたい気持ちがなければ、どうやって断るかを考えるだろう?」

美咲くんの言う通りかもしれない。核心を衝いているなと思った。
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