腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「漫画も面白いので、おすすめですよ」

これがきっかけで木原さんにも漫画に興味を持ってもらえたら嬉しいなと思った。

「桜庭さんの折り紙付きだし、今日買って帰ろうと思います」

一人沼に落とすことができ、私の中で密かに木原さんをヲタクにする計画を立てた。

「いいですね。漫画を読んだら語りましょう」

ここでもう漫画やアニメ系の話は終わったと思っていた。
でも、ここで終わらなかった。話を続けたのは木原さんの方だった…。

「桜庭さんって、結構漫画を読まれるんですか?」

向こうからしたら、何気ない会話だ。ここで読むと答えたら、よく一般人からの質問は、『おすすめの漫画とかありますか?』…だ。
躊躇してしまう。本当のことを答えようかどうか。なるべくBLが好きなことは隠しておきたい。腐バレは相手を間違えると、火傷して終わるだけだ。
木原さんなら大丈夫…だと思うが、一抹の不安が過ぎる。
でも、私は木原さんを信じて、カミングアウトすることにした。

「実はBLが好きなので、結構色んなジャンルの漫画を読みますね」

言っちゃった…。もう取り消せない。木原さんの反応が気になる。気持ち悪いと軽蔑されたらどうしよう…。
言った後に再び不安が襲う。今更遅いと分かっていても、腐女子であることをカミングアウトすることはとても緊張する…。
理解されても、理解されなくても、どちらにせよ相手の反応が気になることには変わらないわけで。一瞬の沈黙が、今の私にはとても長くて重い時間に感じた。
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