腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
今まで特に大きな喧嘩もない。それはお互いを熟知しているからこそ、良い距離感を保てているという証拠だ。
そもそもお互いに争いごとが嫌いだ。それでいて美咲くんの方が精神年齢が高いんだと思う。
だから喧嘩もないし、似た性格だからこそ対立する部分もあるように思えるが、不思議とない。寧ろ似ているからこそ、お互いを理解し合っているのかもしれない。

「確かに。愛の力は無敵だね」

「だな。無敵だな」

意味のない会話かもしれない。私達夫婦にとっては意味のある会話だ。
それぞれ恋人や夫婦ごとにその人達の間だけにある会話がある。私達の会話はこういう形で。それが楽しくて。心地が良い。
色々な愛の形があると思うと、世の中たくさんの幸せで溢れていると知り、それだけで幸せな気持ちになった。

「そうだよ。愛って様々な形があるから最強だよ」

今、頭の中で閃いた。なんだか作品の糸口が見えたような気がした。

「ねぇ、美咲くん。私、閃いたかも…」

この先のストーリーに必要なこと。今の私に足りなかった閃き。創作は人との会話の中で生まれるヒントがあると、改めて思い知らされた。

「どうした?何か良い閃きでも思いついたのか?」

「うん。美咲くんのおかげでね。でもまだ秘密。それは作品を読んでからで」

まだ今は教えられない。私なりの答えは作品で表現して出すつもりだ。

「それはそれで楽しみだな。焦らされた分、どんな答えが用意されているのか気になるし」

最高の返事をもらえた。旦那としても。一人の読者としても。

「そう言ってもらえてなによりです。これから楽しみにしてて」

そう思ったら吉日。電話まで時間があるので、今すぐにでもネタをメモしたい。

「茜、早く飯を食って、ネタをメモしたいんだろ?」

美咲くんには何でもお見通しみたいだ。単純に私が分かりやすいだけかもしれないが。
< 874 / 990 >

この作品をシェア

pagetop