腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
私が話を始める前にもう何を話したいのか、桜子さんは分かっていたみたいで。分かった上で私が話しやすい環境を作ってくれた。
その心遣いも含めて、私は嬉しかった。この人なら大丈夫。自分のことのように喜んでくれるはず。
そう思い、覚悟を決めて話し始めた。

「仕事前に呼んだのは大事な話があって。実は私…」

一旦、深呼吸をし、間を置いてから喋り始めた。

「ついに連載許可が下りまして。連載を持つことができました」

言えた。ちゃんと桜子さんの目を見て。
桜子さんの表情は一気に明るくなり、次の瞬間、両手を掴まれた。

「おめでとう。ついに許可をもらえたんだね。私も嬉しい。本当におめでとう」

早朝の公園で珍しく興奮気味に大きな声ではしゃぐ桜子さんの声が響いた。

「…ごめん。はしゃぎすぎだよね。予想はしてたけど、いざ本人の口から聞かされると驚きと嬉しさで興奮してしまった」

こういう時、桜子さんもちゃんとヲタクなんだと感じる。
それがとても親近感が湧いて。より桜子さんを身近に感じた。

「全然大丈夫だよ。初めてそんな桜子さんの姿を見て驚いたけど、自分のことのように喜んでくれて。それがとても嬉しかった」

桜子さんだって今、私と同じ状況で。正直、私のことなんて祝福している余裕なんてないと思う。
私が逆の立場だったら、ちゃんと祝福はできるし、自分のことのように喜ぶけど、内心とっても焦る。
桜子さんに変なプレッシャーやストレスを与えていないことを願った。そういった精神的なダメージが一番仕事のコンデイションを下げてしまうから。

「喜ぶに決まってるよ。だって一緒に頑張ってきた仲間だもん。私も頑張らなきゃって思った。茜さんの漫画楽しみ」

いつも漫画が雑誌に載ると、BLが好きなわけではない桜子さんは私のために読んでくれる。
その気持ちだけでも嬉しいのに、こうやって一緒に走れることが嬉しかった。これからも変わらずにずっと…。
< 888 / 995 >

この作品をシェア

pagetop