腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「だ、大丈夫…です。一人で入れるから…」

「そっか。残念。夫婦水入らずの甘い時間が過ごせるかなって思ったんだけどな」

時々、雄らしさを出して攻めてくる。ずるい。こんなの胸がドキドキしないわけがない。

「そういうのは、その…、連載が落ち着いたらでお願いします…」

「冗談だよ。こんな大変な時に求めたりなんかしないよ。普通に心配だから一緒に入りたいって思っただけ。お風呂で寝落ちしないか心配で…」

美咲くんはそういう人だ。こんな時に求めてくるような人ではない。

「真に受けちゃってごめん。心遣いありがとう。でも大丈夫。今ので眠気が吹っ飛んだから。もし三十分以上経っても出て来なかったら、その時は様子だけでも窺いに見に来て」

「分かった。その時はそうさせてもらうな」

「お願いします。それじゃお風呂に入ってくるね」

一言告げてから私はお風呂場へと向かった。結局、美咲くんに様子を見に来てもらうことはなく、無事にお風呂を上がった。
私はそのまま寝室へと向かい、眠りについた。今日はもうお風呂に入るまでが活動限界だ。
明日の私がなんとかしてくれるはず。そう信じて今日の私は体力回復のために朝までぐっすり眠った。


           *


次の日。仕事に行くためにいつも通りの時間に起きた。
そのまま職場へと向かい、店長に辞めることを伝えた。

「そっか。桜庭さんが辞めるのは寂しいけど、桜庭さんの漫画家としてのお仕事を応援してます」

昨日、辞めるかもしれないと告げていたので、すんなりと応援してもらえた。
でもどこか寂しそうな顔をしていた。本当は引き止めたいのかもしれない。そう思ってもらえているだけで幸せだ。

「ありがとうございます。私も寂しいです」

寂しいと思っているのは本当だ。この職場が大好きだから。

「そう言ってもらえて何よりです。成功するといいですね。本当に応援してます」

お互いに良い関係性を育めていたみたいでよかった。辞めてからも故意にしてもらえたら有難い。
< 919 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop