腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「ありがとうございます。漫画が出たら遊びに来ますね」

「楽しみにしてます。いっぱい発注しておきますね」

利益にならないと困るので程々で大丈夫だが、そう言ってもらえて心が救われた。
まだ単行本が出せると決まったわけではないが、もし連載が決まった作品で単行本が出せたら嬉しい。それが実現することを密かに願っている。
店長は疑う余地もなくそう思ってくれているみたいで。その気持ちが嬉しかった。

「店長...。ありがとうございます。店長にそう言ってもらえたので、私の漫画で単行本が出せるように頑張ります」

未来はどうなるかなんて分からない。今の私は近い将来、単行本が出せることを願うことしかできない。

「皆さんには桜庭さんと辞める時期を話し合って決まってから伝えましょう。決まったらなるべく早めに…」

あまりギリギリだと却って逆に迷惑をかけてしまうことになる。誰かが一人抜けるだけで一人当たりの仕事量が変わる。
辞める人からするとそんなの関係のない話だが、これからも働き続ける人からすると迷惑な話だ。辞めた人の分の仕事も頑張らなければいけないから。
他の人の気持ちも考えると、早めに伝えることは大事だ。そして私自身も辞める時期が早く決まると助かる。決まったらその分、早く漫画家のお仕事だけに専念することができる。

「はい。その時はまたよろしくお願いします」

「こちらこそいつもありがとうございます。本音を言えば桜庭さんはお仕事ができるので、こちらとしては辞めないでほしい気持ちが大きいです」

ずっと伝えようか伝えまいか迷っていたのかもしれない。伝えれば私を困らせてしまうことになるから。
でも敢えて店長は本音を伝えた。引き止めたいと思っているほど、この職場で必要な人材であるということを伝えるために。
辞める側としては引き止められないほど、悲しい話はない。引き止めてもらえただけでも有難い。必要とされていたことが分かるから。
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