妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜
 二人が部屋を出ていくと、アダン様と私は二人きりになる。
 心臓の音が彼に聞こえるのではないか、と思えるほど私の鼓動は大きく速くなっていた。静まるようにと落ち着かせていると、アダン様から話しかけてくる。

「君は何を購入したんだ?」
「私は普段使いできるハンカチと――」
 
 購入した商品を、テーブルの上に載せながら話す。
 本当はアダン様に購入した物を見せる必要はない、と言われているのだけれど……支払ってくださっているのはアダン様なので、一応お知らせしておくことにしている。
 今日も紹介をし終えると、アダン様は眉間に皺を寄せながら言った。

「もう少し購入してもいいのだが……」
「いいえ、今のところ使いませんから。それに、充分戴いてますので」

 そう告げて微笑むとアダン様は少し驚いたような表情で私を見た後、視線を逸らす。何か私が困らせただろうか、と首を傾げたのと同時に、ふと思い出したことがあった。

「あ、あのアダン様。おひとつお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「……ん、なんだろうか?」
「あの、宝石に込められている魔力の色が違うのですが、何か意味があるのでしょうか?」
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