妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜

第39話 望まぬ客

「お姉様?」

 聞き覚えのある声に、私は勢いよく顔を向けた。

 そして目に入って来たのは……腕を組みながら、こちらを値踏みするかように……私たちを頭からつま先まで舐め回すように見ているリリスだった。彼女の後ろには、公爵と継母の姿も。
 リリスはいつもように着飾っていた。いや、むしろ私が知る限り、今までで一番豪華な衣装のように思う。

 腰からふんわりと広がるドレスは、どうやら砕いた透明の宝石を散りばめているのか、キラキラと輝いている。上半身に装飾は少ないが、襟元は大胆に開いており、肌が露わとなっていた。
 袖口は丸く大きく膨らんでいる。それがまたリリスの可愛らしさを引き出していた。
 そして胸元には大きな宝石が埋め込まれているアクセサリー。真ん中に使われている夕焼け色の宝石が、怪しく光っているだけでなく……黒い(もや)に包まれていた。
 そんな彼女を自慢げな様子で見つめる公爵と継母。
 
 やはり三人は、私を家族として見ていない。その事実を改めて突きつけられたようで、胸が痛い。
 
 それだけでなく、久し振りに見た義妹の姿に、私は身体が硬直した。唇も震えている。
 けれども、以前ほどの恐怖を感じることはなかった。何故ならアダン様私の肩触れてくださっているから。その温もりに押された私の唇は、ゆっくりと開いた。

「リリス……」

 私の口から漏れた言葉を聞いて、可愛らしく微笑むリリス。
 三人は不気味なほど静かに微笑んでいるが、彼らの瞳には苛立ちや焦り、羨望など色々な表情が入り混ざっているように見えた。

 三人の視線を受けるのが怖い……そう感じて、拳を握りしめた。ふとそんな折、リリスの姿が何かによって遮られる。

 ――そう、アダン様だ。
 彼はリリスの前に立ち塞がったのだ。
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