妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜
「なるほど、話は理解した。後ほど、尋問して聞き出すか」

 私の話とアダン様の話を聞いて、エルマーさんは感情の篭らない声で告げる。その姿を見て魔術内にいる三人の顔から血の気が引いている。どうやら、彼らの声は聞こえないけれど、こちらの声は聞こえるらしい。
 三人は必死にこちらに何かを訴えているけれども、私はそれを一蹴し、視線をエリマーさんへと戻した。その時に目の端で三人が悲痛な表情を浮かべているように見えたけれど、気のせいだろう。
 エルマーさんは三人を一瞥してから、腕を組んで悩み始めた。

「しかし、ずっとこの街で拘束するわけにもいかないだろう? 今後の処遇をどうするかを考えないとな」

 処遇と聞いて、更に顔面蒼白になっていく三人。そしてなりふり構わず、叫び続けている。その姿が少しだけ昔の私に重なって見えて、悲しくなった。
 その想像を頭から追い出すために、私は顔を左右に振る。そして頬に両手を当てて、落ち着きを取り戻した頃、彼の声が聞こえた。

「それなんだけどさぁ〜」
「誰だって、セファー様?! なんだ、もー。びっくりさせないでくださいよ!」

 エルマーさんの真横に現れたのは、セファーさんだった。気配なく現れた人物が彼だと気づいたエルマーさんは、胸を撫で下ろしている。そんな様子を見て、セファーさんは「あはは」と声を上げて笑った。
 
「あ、エルマー、ごめんよぉ〜」
「と言いながら、またやるんですよね? 面白がらないでくださいって」
「だって、エルマーの反応が面白くてさぁ〜」

 満面の笑みでエルマーさんと話すセファーさん。そんな言い合いを中断するかのように、アダン様が割って入った。
 
「それより、セファー。何か伝えることがあってきたのではないか?」
「あ、そうそう。この三人の件で女神デューデ様の言葉を伝えにきたよ」
「……女神デューデ様が?」

 私が思わず聞き返すと、彼は大きく頷いた。

「そう、彼ら三人の件は、デューデ様がなんとかしてくれるって!」
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