妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜

第20話 空の街

 装飾店に辿り着いた私たち。
 店内に入って見ると、ネレイダの街とはまた違った綺麗な装飾品が所狭しと置かれていた。ネレイダの街は金や銀色の貝殻を模った装飾品が付いているものが多かった。
 けれど、ここの装飾はガラスの中に雲を込めたような……雫型の透き通った石の中に景色を閉じ込めたようなものだ。
 場所によって、装飾品の様相も違うのだろう。ネレイダでは水を題材にした美しさが、空の街には空を題材にした美しさが……どちらも私の目を楽しませてくれる。

 アダン様と二人で見ていると、ふと目に入った区画があった。そこは空と雲をテーマにしている装飾品が置かれている。水色の晴れやかな空に浮かぶ雲をモチーフにした雫型の首飾りだ。
 水色を見ていると、どうしてもアダン様の瞳を思い浮かべてしまう。彼の面影を飾りに重ねながら、私は目の前に飾られていた商品をじっくりと眺めていたその時――。
 
「気に入ったのか?」

 急に隣から声を掛けられて、肩が跳ねる。そうだ、今アダン様と一緒に商品を見ているところだった。そのことを思い出した私は、思わずアダン様の顔を見る。するとそこには不思議そうな表情をした彼がいた。
 曖昧に濁しつつ微笑んだ。「貴方の瞳と重ねていました」なんて流石に言えない。
 すると、その笑みを肯定と取ったのか……アダン様の顔から笑みが溢れた。
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