妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜
 そう言って私が見つめていた首飾りを確認した後……アダン様は店員さんを呼んだ。笑顔に見惚れていた私は、彼の行動の意味を察して狼狽えた。

「アダン様、大丈夫で――」
「これを購入したいのだが、良いだろうか?」

 アダン様の側に訪れた店員さんは、後ろで慌てている私を見た後……満面の笑みで彼を見る。そして、興奮した声色でアダン様へと話し始めた。

「勿論でございます! こちらの商品は紐の部分が短めですので、今身につけていらっしゃる首飾りと共につけても問題ないと思います!」

 店員さんとアダン様の視線が私の胸元に移る。その視線を感じて私は緊張で身体が固まりつつも、首飾りを見た。
 以前ネレイダの街で購入した商品は、肩甲骨あたりに飾りがくるような作りになっている。今回私が見ていた首飾りは、チョーカーという紐部分が短いものらしい。
 そのため、ふたつ身につけても問題ないと力説する店員さんに押され、気づけばアダン様の手には購入した首飾りが。
 慌てふためいている私に、彼はそっとチョーカーを首に回す。その時……ふたつの首飾りが重なり、チリ、と微かな音を立てる。その音を聞いて、またアダン様との新たな思い出が増えたのだ、と私の心の中は温かくなった。
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