可愛い玩具が落とした靴
「ねえ、この前さ、イケメン連れてきたじゃん。もしかして彼氏?」

ニコニコと楽しそうに____申し訳ないけど俗に言う『ブス』に分類される友達は、私にそう聞いてきた。

あんな奴が彼氏な訳がないと思った。

気持ち悪くて吐き気がした。

「まあ、そんな感じ。あいつ浮気してるけどね」

「え、ほんと?いや、無理無理。そんな奴はやく別れた方がいいって。てゆーか、大丈夫なの?」

浮気という単語が出た瞬間、彼の存在を否定し、私を気遣ってくれた。

『大丈夫なの?』の意味は、たぶん、浮気されて悲しくないのかとか、慰めなくていいのかとか、つらくないのか、とか。

「…つらかったら全然話さなくていいけど、いつでも聞くからね。どんどん愚痴っていいから」

心がきれいな彼女だから言える、最高の言葉。

ああ、こういう子が本当に「かわいい」と言うんだろうなあ。

世の中の男ども、なんで私なんかに構ってんだろ。

やっぱ、顔より性格じゃない?

私は所詮、アイツらの『かわいい玩具』だ。

最初は『かわいい!』と嬉しそうに叫び、たくさん私を使って遊ぶ。私を大事そうに扱う。

そして散々遊んだ挙句、「飽きた」と言われて捨てられるのがオチ。

一目惚れって、そんなもんだ。

私は結局、顔だけの女。一目惚れしかされない女。

誰も本当の私なんか見てくれない。

きっと、興味もない。
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