ようこそときめき部!~恋も夢も見つかるときめきだらけの部活動⁉

 温室を出て少し歩いていると、ようやく星名くんを見つけた。


「あ、星名くん!」


 私に気がついた星名くんは、花が咲いたみたいに明るい笑顔を浮かべる。


「咲森さん」
「星名くん、急に部室からいなくなっちゃったから、どうしたのかと思っちゃった!」
「もしかして、俺のこと心配して探しにきてくれた? ごめん、ちょっと空の様子が見たくてさ」
「空の?」
「うん」


 星名くんは少しずつオレンジ色に染まっていく空を見上げる。


「今日、天体観測をしようと思ってて。今日の夜空は星が見えるかなーって」


 その瞳はお星さまみたいにきらきらとかがやいていた。


「星名くんは、星空が好きなんだね」
「うん、大好きだよ」


 にこっと爽やかな笑みを浮かべて答えた星名くんの言葉に、私はドキッとしてしまう。


「……星名くんはすごいな。もう夢中になれる、好きなものを見つけてて」


 私にはまだわからない。

 自分にはなにが向いているのか、どんなものが好きなのか。
 そういうものに、私が出会えるのかどうかも、まだ全然わからなかった。

 将来の夢や好きなことって、どうやって見つけるんだろう?

 星名くんは、いつものように優しい笑顔を向けてくれる。


「咲森さんにも必ず見つかるよ。自分が好きだって思えること。そういうものって無理に探そうと思っても急には出てこなくて、でも、ある日突然、あ、俺これ好きかも、なんて気がついたりするんだ」
「そういうもの?」
「そういうものだよ」


 星名くんの言葉に、少しだけ心が軽くなる。
 ときめき部のみんなは、もうそれぞれ好きなことを見つけていて、日々それに全力だ。

 そんな人たちに囲まれているせいか、少しあせっちゃったのかも。


「咲森さんは、まだどの部活にするか決められないって言ってたよね?」
「うん……」


 天文部に文芸部、写真部に軽音部に放送部。
 ときめき部内にある部活動はどれもとてもおもしろそうだけれど、どれかひとつにしぼりこむのは難しい。

 私の内心を察したように、星名くんが提案してくれる。


「それなら、順番に各部活に体験入部してみたらどうかな?」
「体験入部?」
「なんだかときめき部の体験入部中なのに、さらにその中の部活に体験入部、って少しおかしな話だけど」
 「たしかに!」と私も笑う。


「例えば一週間ごとにその部を体験してみるんだ。まずは文芸部に一週間入部して、その次は写真部に一週間入部する、とか。順番にいろんな部を体験してみるのはどうかなって。体験してみないとわからないこともたくさんあるだろうし、もしかしたら、その中で咲森さんがやりたいな、って思うことも見つかるかも」
「なるほど……!」


 たしかに星名くんの言う通りだ。
 体験してみないことには、その楽しさはわからない。
 先輩たちがあんなにも夢中になっているんだもん、もちろん興味はすっごくある。


「ありがとう、星名くん! 私、いろいろ挑戦してみる!」
「うん!」


 星名くんはにこりと笑った。



 そのあとすぐに部長の六崎先輩に、各部活動に一週間ずつ体験入部したいって伝えてみた。

 六崎先輩だけじゃなくて、三滝先輩も夏目先輩も、もちろん伊瀬先輩も、すっごく大歓迎してくれた。


 こうして私は、自分の好きを探すため、ときめき部の各部活動に体験入部をして回ることになったんだ。



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