ようこそときめき部!~恋も夢も見つかるときめきだらけの部活動⁉

 私たちがやってきたのは、噴水のある中庭。

 学校に噴水って、ふつうあるものだっけ? 公園とかならよくあるかもだけど。
 改めてこの学院のすごさに驚きながらも、私は三滝先輩の後ろを歩く。


「カメラの使い方、簡単に教えるね」
「はい!」


 デジタルカメラのシャッターの切り方、ピントの合わせ方、明度や彩度っていう、明るさとか色合いの調整の仕方を、軽く教えてもらった。


「ISO感度とか、そういうちょっと小難しいことは、また今度教えるね」


 少しちゃらそうなイメージを持っていた三滝先輩だけど、カメラのことになると真剣で、とってもていねいに教えてくれた。


「はい! じゃあ好きなものを撮ってみて!」
「え? なんでもいいんですか?」
「もちろん、なんでもいいよ。いいな、と思ったものや、この瞬間を撮っておきたいな、って思うものを、好きに自由に撮ってみてよ」


 普段スマホで写真を撮るときは、かわいいスイーツとか、きれいな夕陽とか、そんな何気ないものを私は撮っているんだけど、カメラも同じなのかな?


「もちろん写真部はコンクールとかもあるんだけど、基本的に俺はいいな、と思ったものしか撮らないかな」
「そうなんですね」
「だからみのりちゃんも、上手く撮れなくてもいいから、いいなって思うもの、撮ってみて!」
「はい、わかりました!」


 私はデジカメすら触ったことがなかったから、少し緊張しちゃったけど、先輩の言葉で少しだけ気が楽になった。
 いいな、って思うもの、かぁ……。


「よーしっ!」


 さっそくカメラをかまえてみる。

 レンズを通して見る世界は、なんだかいつもよりも幻想的に見える。
 中庭は目で見ても当然きれいだけど、それだけじゃなくて、レンズを通すと温かみが伝わってくるような気がした。

 パシャッ。

 すぐそばでシャッターを切る音がして、私は驚いて三滝先輩を振り返った。
 そこには当然カメラをかまえた先輩がいて。


「え? 先輩、私を撮りました?」
「うん!」
「ええっ、どうしてですかっ!?」
「だってみのりちゃんが、あまりにかわいかったから」


 先輩の言葉に、私は目をぱちくりさせる。

 いつもストレートに気持ちを口にする三滝先輩。
 これは絶対女子はドキドキしちゃうよ……。

 にこっと笑った先輩に、私は小さくつぶやく。


「た、ただ写真を撮っているだけだったのに、かわいかった、ですか……?」
「うん! 真剣にレンズをのぞきこんでいる姿がめちゃめちゃかわいかったんだよね。あとは単純に、嬉しかった!」
「嬉しい?」
「俺、ずっと一人で写真を撮ってたから。まぁ、一人でも全然成り立つ部活だけど、やっぱりだれかと一緒に写真を撮るっていいな、って」


 三滝先輩の言葉に、私はよくやく気がつく。

 どうしてみんなが、私なんかを勧誘してくれるのか。
 それはもちろん、部活動発表会もあるだろうけれど、それだけじゃないんだ。

 ときめき部は、みんなそれぞれ一人で活動してる。
 好きなものを好きで、とことん追求するみんなだから、一人でもなんてことないのかな、って思っていたけれど。

 きっとそれは違うんだ。
 本当は一緒に活動してくれる人がいたら楽しい、って、きっとみんな思ってる。

 そんな当たり前のことに、私はようやく気がついた。


「三滝先輩、私、たくさん写真撮りたいです!」


 私の言葉に、先輩はにこっと笑う。


「うん、一緒にたくさん撮ろう!」


 写真部の体験入部期間は一週間だけだけれど、その期間、めいっぱい写真部を楽しもうって思った。


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