ようこそときめき部!~恋も夢も見つかるときめきだらけの部活動⁉
一枚のルーズリーフとシャープペンシルを手に、二人で頭を突き合わせて机に向かう。
「夏目先輩は、いつもパソコンで書いてるんですか?」
部室にやってくると、先輩が一心不乱にキーボードを叩いているのをよく見かけていた。
「まぁ、基本的にはそうだな。紙に印刷して、それをチェックしたりもするけど」
今日は私に教えてくれるためか、先輩の手元にも一枚のルーズリーフが置かれていた。
「…………」
「…………」
夏目先輩は必要以上のことを口にしないので、私が恐る恐る尋ねないといけない。
「えっと……。先輩は、いつもどんなジャンルの小説を書いているんですか?」
そう聞くと、夏目先輩はいつも通りのクールな表情のまま答えた。
「恋愛小説だ」
「えっ……」
私は驚いて思わず声を上げてしまった。
夏目先輩、恋愛小説を書いてるんだ!?
こんなことを言ってはすごく失礼だと思うんだけど、先輩はいつもクールで、少し言葉にとげがある印象があった。
千景先輩にもずばずばと言っていたし……。
そんなイメージを持っていたから、夏目先輩の書く小説ジャンルはなんとなく、殺人事件とか起こるミステリーなのかな、と勝手に思っていた。
クールな顔で、胸キュンな恋愛小説を書いている、ってこと……?
さっきも私が本を選んだとき、同じ恋愛小説が好き、って言ってたし……。
夏目先輩の書く恋愛小説、すっごく気になる……!!
「俺が恋愛小説を書いていることが意外か?」
「えっ、いや、えっと……、ちょっと驚きましたけど……」
ずばり思っていたことを言い当てられて、私はもごもごと答える。
夏目先輩は自嘲気味に笑った。
「まぁ、驚くのも無理はないな。そもそも俺は、恋愛経験もないし」
「ええっ!!」
今日一驚きの情報だった。
「な、夏目先輩、恋したことないんですか?」
「ない」
「な、なんと……」
私は口をあんぐりと開ける。
夏目先輩はモテる。それはもうすっごく。
ときめき部みんなに言えることだけれど、みんな容姿が整っていて、女子にキャーキャー言われている印象がある。
その中でも夏目先輩は、ミステリアスな雰囲気とクールな態度がかっこいいからか、すっごくモテるのだ。
私がはじめてこのときめき部に来たときも、女子がたくさん集まっていたし。
みんな夏目先輩に追い出されてたけど……。
だから、先輩が恋をしたことがない、というのがすごく意外だった。
「な、夏目先輩は、どうして恋愛小説を書いているんですか?」
私の質問に、先輩は首をかしげる。