ようこそときめき部!~恋も夢も見つかるときめきだらけの部活動⁉

「咲森さん、さっき三滝先輩に『ときめき部の、なに部の入部希望』か、って聞かれたよね?」
「う、うん……」


 ときめき部のなに部、ってどういう意味なんだろう?

 私の疑問に答えるように、星名くんはていねいに説明してくれる。


「ときめき部は、五つの部活があわさった部活動なんだ」
「あわさる? 五つの部活が合体してる、ってこと?」
「その通り! 文芸部、写真部、軽音部、放送部、そして天文部。この五つの部活動がまとまった部が、ときめき部!」
「そうだったんだ!」


 三滝先輩が少し困ったように眉を下げながら、補足してくれる。


「どの部活動も部員が一人しかいないんだ。部活動は三人以上いないと成り立たないから、こうして五つの部を合体させて、ときめき部って名前で活動してるわけ」
「なるほど……!」
「活動自体はバラバラだ。文芸部は文芸部の活動を、写真部は写真部の活動を。それぞれの部が、この教室でそれぞれの部活をしている」


 夏目先輩の説明に、私はそっか! だから! と納得した。

 この教室は物であふれていて、しかもその物に統一感がない。

 きっとそれは、五つの部が使う備品が、雑多に置かれているからなんだ!


「ちなみに、ときめき部、という部活名の由来は……?」


 私の質問に、「ああ、それはね」と三滝先輩が自信たっぷりに言う。


「いろんな部活があって、夢と希望がつまってるから! ね? ときめくでしょ?」


 私は目をぱちぱちと瞬かせる。
 横で夏目先輩が盛大にため息をついた。


「三滝が勝手にときめき部とかいう、変な部活名で登録したんだ」
「変な部活名ってひどくない? いろんなジャンルがあって夢いっぱいじゃん! ときめくじゃん! で、みのりちゃんはときめき部の、なに部に入部希望?」
「え?」


 三滝先輩が、私にずいっと顔を寄せる。


「もちろん、写真部だよね? 写真部は俺一人だから、みのりちゃんが入部してくれたらすっごく嬉しいなぁ。二人きりで、色々教えてあげるよ?」


 三滝先輩を押しのけて、夏目先輩が言う。


「いや、咲森は文芸部に入れ。お前は他の女子みたいな態度はとらないし、本も好きそうだ。ならきっと文章も書ける。文芸部に決まりだ」
「え? え?」


 きらきらのお顔から距離を取るように、私は星名くんに助けを求めた。


「ほ、星名くん……!」


 けれど星名くんは、困ったように眉を下げて笑った。


「えっと……、俺、実はときめき部の天文部に入部したんだけど、部員が俺しかいないんだ。咲森さんが天文部に入ってくれたら、すっごく嬉しいんだけど……」


 えへへ、と笑う星名くんに、私は目をぱちくりさせる。
 どうやらこの場に、私を助けてくれる人はいないみたい?


「どう? みのりちゃん? 写真部! 楽しいよ~」
「文芸部一択だろ。他に考える余地などない」
「咲森さん、天文部どう? きみと一緒に星が見れたら嬉しいな」


 三滝先輩、夏目先輩、星名くんから、それぞれの部に勧誘されて、私の頭は混乱した。


 ど、どうしたらいいの!?


 すぐに決断できない優柔不断な私は、ひとまずこう言うことにした。



「と、とりあえず! 体験入部からはじめることにしますっ!?」



 そんなこんなで、私はひとまず、ときめき部に仮入部することになったのだった。



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